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2025年11月15日 『FUJI TEXTILE WEEK 2025』11⽉22⽇(⼟)-12⽉14⽇(⽇)

FUJI TEXTILE WEEK 実⾏委員会は、山梨県富士吉田市において、第4回目となる布の芸術祭『FUJI TEXTILE WEEK 2025』を、2025年11月22日(土)から12月14日(日)まで開催いたします。 2023年に引き続き、アート展のディレクターを弊社代表 南條史生が務めます。 FUJI TEXTILE WEEKは、1000年以上続く織物の産地である⼭梨県富⼠吉⽥市を舞台に、⽷や布などに着想を得た芸術表現を通じて、テキスタイルの新たな可能性を模索する場として誕⽣したもので、織物産業と現代アートが融合した国内唯⼀のアートイベントです。メインコンテンツとなるアート展のほかに、アート初⼼者でも街歩きとともに楽しめるよう、ワークショップや多様なクリエイターとのコラボ企画も予定しています。 前回開催の 2023 年に引き続き、アート展のディレクターは FUJI TEXTILE WEEK 実⾏委員会会⻑を兼任する南條史⽣が、キュレーターは丹原健翔が務めます。FUJI TEXTILE WEEK 2025 のテーマは「織り⽬に流れるもの」。⽬に⾒える織り⽬の下には、無数の⾒えない⼒が⾛っています。それは、まるで地下を流れる伏流⽔のように、⾳や⼿のリズム、記憶、⼟地の気配が、織物の下層で脈打っているのです。そんな、可視化されないもの、下に潜むものに焦点を当て、織物という表層からその⽂化背景や歴史の深層を探ろうとする想いを込めています。 FUJI TEXTILE WEEK実⾏委員会会⻑ 兼 アート展ディレクター 南條史⽣からのコメント 富⼠吉⽥にテキスタイル産業が発達したのは、そこに富⼠⼭から流れ来る清澄な伏流⽔があったからだと聞く。それは地表の川となって⾒えている部分だけではなく、地下の⾒えない⽔脈も含んでいる。とうとうと流れる地上と地下の⽔の流れは、壮⼤な季節と⼤地の営みの⼀部なのだ。それを想像してみると、急に視野が広がり、富⼠⼭を俯瞰したような気がしてくる。この⽔の流れが今回のテーマ「流れる」という⾔葉とつながり、様々な連想を⽣む。 また「流れる」とは流動的な布のあり⽅とも繋がっている。現代は変化の時代だ。世界中がどんどん変化していて、価値観も、技術も、常識も変わる。そんな時代を乗り越えるためにも、織り⽬に流れるものについて考えてみよう。 今回で4回⽬になるこの展覧会は、2021、22、23年と続けてきたが、2024年には⼀年の準備期間をもうけて、本年2025年に開催となった。この間に、およそ 30⼈のアーティストに富⼠吉⽥に来ていただき、⾃然を味わい、町を歩き、テキスタイル関係者とも交流し、その結果として、様々な企画、作品制作の提案をいただいた。今回、このような過程を経て、より富⼠吉⽥の⼈々と対話し、町にかかわる提案をいただけたことを感謝している。こうした丁寧なプロセスを通して、今年のFUJI TEXTILE WEEKが新たな⼒を持ち、より多くの⼈の賛同を得られることを期待したい。 開催概要 名 称 FUJI TEXTILE WEEK 2025 会 期 2025年11⽉22⽇(⼟)〜12⽉14⽇(⽇) 休 館 ⽇ 11 ⽉ 25 ⽇(⽕)、12 ⽉ 1 ⽇(⽉)、8 ⽇(⽉) 時 間 10:00〜17:00 会場により 16:00 閉館(最終⼊場は各会場閉館 30 分前) 会 場 [総合案内所]⼭梨県富⼠吉⽥市下吉⽥2丁⽬16-19 チケット料⾦ 前売り・⼀般 2,000円 学⽣ 1,500円 当⽇・⼀般 2,500円 学⽣ 2,000円 チケット販売 オンラインチケット:公式オンラインチケットArtSticker ほか、Peatix、アソビュー! 紙チケット:下吉⽥観光案内所(富⼠吉⽥市下吉⽥1-4-21) ※⼀般チケットのみの取扱い 公式サイト https://fujitextileweek.com 公式SNS Instagram:@fujitextileweek X:@FUJITEXTILEWEEK 主 催 ⼭梨県富⼠吉⽥市 企画運営 FUJI TEXTILE WEEK 実⾏委員会 助 成 在⽇フランス⼤使館 / アンスティチュ・フランセ 協 賛 (公財)栗井英朗環境財団 / 富⼠急⾏株式会社 協 ⼒ N&A株式会社 / 株式会社宗邦 / チェコセンター東京 / 富⼠⼭麓電気鉄道株式会社 / 富⼠吉⽥織物協同組合 / (⼀財)ふじよしだ観光振興サービス / 富⼠吉⽥市商業連合会 / 富⼠吉⽥商⼯会議所 / (株)ふじよしだまちづくり公社 (五⼗⾳順 2025年9⽉30⽇時点) お問い合わせ FUJI TEXTILE WEEK 事務局 E-mail:info@fujitextileweek.com https://fujitextileweek.com/

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2025年11月15日

『FUJI TEXTILE WEEK 2025』11⽉22⽇(⼟)-12⽉14⽇(⽇)

FUJI TEXTILE WEEK 実⾏委員会は、山梨県富士吉田市において、第4回目となる布の芸術祭『FUJI TEXTILE WEEK 2025』を、2025年11月22日(土)から12月14日(日)まで開催いたします。 2023年に引き続き、アート展のディレクターを弊社代表 南條史生が務めます。 FUJI TEXTILE WEEKは、1000年以上続く織物の産地である⼭梨県富⼠吉⽥市を舞台に、⽷や布などに着想を得た芸術表現を通じて、テキスタイルの新たな可能性を模索する場として誕⽣したもので、織物産業と現代アートが融合した国内唯⼀のアートイベントです。メインコンテンツとなるアート展のほかに、アート初⼼者でも街歩きとともに楽しめるよう、ワークショップや多様なクリエイターとのコラボ企画も予定しています。 前回開催の 2023 年に引き続き、アート展のディレクターは FUJI TEXTILE WEEK 実⾏委員会会⻑を兼任する南條史⽣が、キュレーターは丹原健翔が務めます。FUJI TEXTILE WEEK 2025 のテーマは「織り⽬に流れるもの」。⽬に⾒える織り⽬の下には、無数の⾒えない⼒が⾛っています。それは、まるで地下を流れる伏流⽔のように、⾳や⼿のリズム、記憶、⼟地の気配が、織物の下層で脈打っているのです。そんな、可視化されないもの、下に潜むものに焦点を当て、織物という表層からその⽂化背景や歴史の深層を探ろうとする想いを込めています。 FUJI TEXTILE WEEK実⾏委員会会⻑ 兼 アート展ディレクター 南條史⽣からのコメント 富⼠吉⽥にテキスタイル産業が発達したのは、そこに富⼠⼭から流れ来る清澄な伏流⽔があったからだと聞く。それは地表の川となって⾒えている部分だけではなく、地下の⾒えない⽔脈も含んでいる。とうとうと流れる地上と地下の⽔の流れは、壮⼤な季節と⼤地の営みの⼀部なのだ。それを想像してみると、急に視野が広がり、富⼠⼭を俯瞰したような気がしてくる。この⽔の流れが今回のテーマ「流れる」という⾔葉とつながり、様々な連想を⽣む。 また「流れる」とは流動的な布のあり⽅とも繋がっている。現代は変化の時代だ。世界中がどんどん変化していて、価値観も、技術も、常識も変わる。そんな時代を乗り越えるためにも、織り⽬に流れるものについて考えてみよう。 今回で4回⽬になるこの展覧会は、2021、22、23年と続けてきたが、2024年には⼀年の準備期間をもうけて、本年2025年に開催となった。この間に、およそ 30⼈のアーティストに富⼠吉⽥に来ていただき、⾃然を味わい、町を歩き、テキスタイル関係者とも交流し、その結果として、様々な企画、作品制作の提案をいただいた。今回、このような過程を経て、より富⼠吉⽥の⼈々と対話し、町にかかわる提案をいただけたことを感謝している。こうした丁寧なプロセスを通して、今年のFUJI TEXTILE WEEKが新たな⼒を持ち、より多くの⼈の賛同を得られることを期待したい。 開催概要 名 称 FUJI TEXTILE WEEK 2025 会 期 2025年11⽉22⽇(⼟)〜12⽉14⽇(⽇) 休 館 ⽇ 11 ⽉ 25 ⽇(⽕)、12 ⽉ 1 ⽇(⽉)、8 ⽇(⽉) 時 間 10:00〜17:00 会場により 16:00 閉館(最終⼊場は各会場閉館 30 分前) 会 場 [総合案内所]⼭梨県富⼠吉⽥市下吉⽥2丁⽬16-19 チケット料⾦ 前売り・⼀般 2,000円 学⽣ 1,500円 当⽇・⼀般 2,500円 学⽣ 2,000円 チケット販売 オンラインチケット:公式オンラインチケットArtSticker ほか、Peatix、アソビュー! 紙チケット:下吉⽥観光案内所(富⼠吉⽥市下吉⽥1-4-21) ※⼀般チケットのみの取扱い 公式サイト https://fujitextileweek.com 公式SNS Instagram:@fujitextileweek X:@FUJITEXTILEWEEK 主 催 ⼭梨県富⼠吉⽥市 企画運営 FUJI TEXTILE WEEK 実⾏委員会 助 成 在⽇フランス⼤使館 / アンスティチュ・フランセ 協 賛 (公財)栗井英朗環境財団 / 富⼠急⾏株式会社 協 ⼒ N&A株式会社 / 株式会社宗邦 / チェコセンター東京 / 富⼠⼭麓電気鉄道株式会社 / 富⼠吉⽥織物協同組合 / (⼀財)ふじよしだ観光振興サービス / 富⼠吉⽥市商業連合会 / 富⼠吉⽥商⼯会議所 / (株)ふじよしだまちづくり公社 (五⼗⾳順 2025年9⽉30⽇時点) お問い合わせ FUJI TEXTILE WEEK 事務局 E-mail:info@fujitextileweek.com https://fujitextileweek.com/

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2025年10月22日 【N&A Art SITE】NANJO SELECTION classic vol. 2 松浦延年『時間が形になるとき』開催決定(11/28 – 12/20)

N&A Art SITEでは、2025年11月28日(金)から12月20日(土)まで、NANJO SELECTION classic 第2弾として松浦延年『時間が形になるとき』を開催いたします。 ■開催概要 展覧会名:NANJO SELECTION classic vol. 2 松浦延年『時間が形になるとき』 会期:2025年11月28日(金) - 12月20日(土) 12:00-17:00 (日)(月)休 会場:N&A Art SITE(東京都目黒区上目黒1-11-6 / 東急東横線中目黒駅より徒歩5分) 主催:エヌ・アンド・エー株式会社、アートジーン合同会社   松浦は⾊彩による抽象絵画を⼀貫して追求し続けている作家です。その作品の多くが単⾊の平⾯からなり、絵の具や樹脂を幾層にも重ねることで⽣まれる⾊⾯は、透明感を伴いながら奥⾏きをもち、純粋な⾊そのものの美しさを際⽴たせます。表⾯の光沢や厚み、重層的な素材感は、絵画でありながらも⽴体的な存在感と、確かな物質感を⽣み出します。 NANJO SELLECTION classic の第 2 弾として開催する本展では、松浦のあくなき⾊への探究⼼から制作された最新作を中⼼に構成し、⻑年にわたる制作の蓄積と深化を紹介いたします。時代に左右されることのない表現を追求し続ける作家の仕事を改めて⾒つめる機会となるでしょう。   ※出展作品のうち一部は会場のみでの申込にて販売しております。メール等での申込は承っておりません。 ※プライスリストは会場のみでのご確認をお願いいたします。 ■作家ステートメント 色彩への探求は尽きない。 それが絵画の方向性かどうか分からないが、言葉では表現できない世界への憧憬。 「絵画とは何か」という問いは究極的に「自分とは何か」「どう生きるのか」という本質的問いに還元される。 松浦延年 ■NANJO SELECTION classicについて 長年、現代美術の普及に尽力し、その間、多くの作家、作品に出会ってきましたが、それでもまだ新しい発見を求めて、内外多数の展覧会を見て歩いています。そしてたくさんの作品に出会い、作家との対話を重ねた中から、独自の表現を真摯に模索し、成果を上げ始めている比較的若手の作家に焦点を当て、その活動を紹介するという目的で、「NANJO SELECTION 」シリーズをはじめました。 ところが、そのような出会いを重ねていると、長年にわたり制作を続け、独創的な作風や技法を築いてきた作家にも出会います。そして素晴らしい仕事をしながらも、その存在が広く知られてこなかった作家たちがいることに気がつきました。多くの素晴らしい出会いの中からそのような作家たちをきちんと紹介することも、私の一つの重要な仕事ではないかと思うようになり、このほど「NANJO SELECTION classic 」というシリーズを始めることにしました。classic と呼ばれたくない方もいらっしゃるかもしれませんが、長年のお付き合いに免じてご容赦ください。 現代美術は常に新しい社会や思想の変化をとらえ、時代を反映し、それが表現として立ち現れてくるものです。しかし一方で、深い思考と時間を掛けた探究によって行き着く、時代を超えた作風や表現もあるでしょう。「NANJO SELECTION classic」は変わることなく探究を続け、一生をかけてアートと向き合ってきた作家たちの作品を紹介します。ぜひご覧ください。 ■vol. 2 松浦延年について 松浦延年の作品を前にすると、私たちはまず「これは絵画なのだろうか」という問いに立ち止まる。 絵画とは本来、平面の上に絵の具を重ね、そこに三次元の形象を幻視させる魔術であった。しかし、松浦の作品はそのような図像的な幻術を拒む。そこに浮かび上がるのは、像ではなく、物質そのものの存在感である。透明な層の奥に沈む色は、青磁の肌を思わせる深い光をたたえ、見る者をその奥へと引き込む。絵画というよりも、それはむしろ光を内包した「物」であり、時間を封じ込めた結晶である。 彼の色は常に単色である。赤、白、緑、青――いずれも純粋でありながら、どこか祈りに似た静けさを湛えている。一見ミニマルな構成でありながら、そこには機械的な冷たさはない。むしろ、長い思索の積層、沈黙の時間が沈殿している。松浦のミニマリズムは、物質の奥に宿る精神性を探るための装置であり、思索そのものの形態なのだ。 制作には、絵具だけでなく、看板用のペンキや樹脂、ニスなど多様な素材が用いられる。化学反応や経年変化を見極めるために、完成まで数年を要することもある。時に八年の歳月を経て、ようやく一枚が完成するという。その長い時間は単なる工程ではなく、思考と感覚の往復、問いと沈黙の繰り返しであり、作家にとっての瞑想の時間でもある。こうして生まれる作品は、行為と時間、思索と物質が堆積してできた「時間の層」そのものだ。 私たちがその前に立つとき、求められるのは速やかな理解ではなく、沈黙の中をのぞき込む態度である。聞こえない音を聞き、見えない時間を感じ、透明な思索の中に身を置くこと。そこに初めて、色という情念と、三次元という無限が開かれる。松浦の作品は、時間が物質化し、存在が静かに形を得る瞬間を、私たちに差し出している。 それは、アートという名の生き方なのである。 南條史生 ■松浦延年 1949年、静岡県生まれ、神奈川県を拠点に活動。 長年にわたり「色彩」という物質そのものを研究し続けている。独自の技法によって重ねられた層が、平面の中に奥行きと光の反射を生み出し、絵画でありながら立体的な存在感を備えた作品を制作する。 【展示についてのお問い合わせ】 N&A Art SITE(エヌ・アンド・エー株式会社) artsite@nanjo.com 03-6261-6098 1.左から《Green 504》2024、《Red 616》2024、《White 686》2025 撮影:忽那 光一郎

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2025年10月22日

【N&A Art SITE】NANJO SELECTION classic vol. 2 松浦延年『時間が形になるとき』開催決定(11/28 – 12/20)

N&A Art SITEでは、2025年11月28日(金)から12月20日(土)まで、NANJO SELECTION classic 第2弾として松浦延年『時間が形になるとき』を開催いたします。 ■開催概要 展覧会名:NANJO SELECTION classic vol. 2 松浦延年『時間が形になるとき』 会期:2025年11月28日(金) - 12月20日(土) 12:00-17:00 (日)(月)休 会場:N&A Art SITE(東京都目黒区上目黒1-11-6 / 東急東横線中目黒駅より徒歩5分) 主催:エヌ・アンド・エー株式会社、アートジーン合同会社   松浦は⾊彩による抽象絵画を⼀貫して追求し続けている作家です。その作品の多くが単⾊の平⾯からなり、絵の具や樹脂を幾層にも重ねることで⽣まれる⾊⾯は、透明感を伴いながら奥⾏きをもち、純粋な⾊そのものの美しさを際⽴たせます。表⾯の光沢や厚み、重層的な素材感は、絵画でありながらも⽴体的な存在感と、確かな物質感を⽣み出します。 NANJO SELLECTION classic の第 2 弾として開催する本展では、松浦のあくなき⾊への探究⼼から制作された最新作を中⼼に構成し、⻑年にわたる制作の蓄積と深化を紹介いたします。時代に左右されることのない表現を追求し続ける作家の仕事を改めて⾒つめる機会となるでしょう。   ※出展作品のうち一部は会場のみでの申込にて販売しております。メール等での申込は承っておりません。 ※プライスリストは会場のみでのご確認をお願いいたします。 ■作家ステートメント 色彩への探求は尽きない。 それが絵画の方向性かどうか分からないが、言葉では表現できない世界への憧憬。 「絵画とは何か」という問いは究極的に「自分とは何か」「どう生きるのか」という本質的問いに還元される。 松浦延年 ■NANJO SELECTION classicについて 長年、現代美術の普及に尽力し、その間、多くの作家、作品に出会ってきましたが、それでもまだ新しい発見を求めて、内外多数の展覧会を見て歩いています。そしてたくさんの作品に出会い、作家との対話を重ねた中から、独自の表現を真摯に模索し、成果を上げ始めている比較的若手の作家に焦点を当て、その活動を紹介するという目的で、「NANJO SELECTION 」シリーズをはじめました。 ところが、そのような出会いを重ねていると、長年にわたり制作を続け、独創的な作風や技法を築いてきた作家にも出会います。そして素晴らしい仕事をしながらも、その存在が広く知られてこなかった作家たちがいることに気がつきました。多くの素晴らしい出会いの中からそのような作家たちをきちんと紹介することも、私の一つの重要な仕事ではないかと思うようになり、このほど「NANJO SELECTION classic 」というシリーズを始めることにしました。classic と呼ばれたくない方もいらっしゃるかもしれませんが、長年のお付き合いに免じてご容赦ください。 現代美術は常に新しい社会や思想の変化をとらえ、時代を反映し、それが表現として立ち現れてくるものです。しかし一方で、深い思考と時間を掛けた探究によって行き着く、時代を超えた作風や表現もあるでしょう。「NANJO SELECTION classic」は変わることなく探究を続け、一生をかけてアートと向き合ってきた作家たちの作品を紹介します。ぜひご覧ください。 ■vol. 2 松浦延年について 松浦延年の作品を前にすると、私たちはまず「これは絵画なのだろうか」という問いに立ち止まる。 絵画とは本来、平面の上に絵の具を重ね、そこに三次元の形象を幻視させる魔術であった。しかし、松浦の作品はそのような図像的な幻術を拒む。そこに浮かび上がるのは、像ではなく、物質そのものの存在感である。透明な層の奥に沈む色は、青磁の肌を思わせる深い光をたたえ、見る者をその奥へと引き込む。絵画というよりも、それはむしろ光を内包した「物」であり、時間を封じ込めた結晶である。 彼の色は常に単色である。赤、白、緑、青――いずれも純粋でありながら、どこか祈りに似た静けさを湛えている。一見ミニマルな構成でありながら、そこには機械的な冷たさはない。むしろ、長い思索の積層、沈黙の時間が沈殿している。松浦のミニマリズムは、物質の奥に宿る精神性を探るための装置であり、思索そのものの形態なのだ。 制作には、絵具だけでなく、看板用のペンキや樹脂、ニスなど多様な素材が用いられる。化学反応や経年変化を見極めるために、完成まで数年を要することもある。時に八年の歳月を経て、ようやく一枚が完成するという。その長い時間は単なる工程ではなく、思考と感覚の往復、問いと沈黙の繰り返しであり、作家にとっての瞑想の時間でもある。こうして生まれる作品は、行為と時間、思索と物質が堆積してできた「時間の層」そのものだ。 私たちがその前に立つとき、求められるのは速やかな理解ではなく、沈黙の中をのぞき込む態度である。聞こえない音を聞き、見えない時間を感じ、透明な思索の中に身を置くこと。そこに初めて、色という情念と、三次元という無限が開かれる。松浦の作品は、時間が物質化し、存在が静かに形を得る瞬間を、私たちに差し出している。 それは、アートという名の生き方なのである。 南條史生 ■松浦延年 1949年、静岡県生まれ、神奈川県を拠点に活動。 長年にわたり「色彩」という物質そのものを研究し続けている。独自の技法によって重ねられた層が、平面の中に奥行きと光の反射を生み出し、絵画でありながら立体的な存在感を備えた作品を制作する。 【展示についてのお問い合わせ】 N&A Art SITE(エヌ・アンド・エー株式会社) artsite@nanjo.com 03-6261-6098 1.左から《Green 504》2024、《Red 616》2024、《White 686》2025 撮影:忽那 光一郎

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2025年9月29日 【N&A Art SITE】ジェイ・ヨン『思考と行為の現象学』開催決定(10/15 – 11/8)

N&A Art SITEでは、2025年10月15日(水)から11月8日(金)まで、ジェイ・ヨン(J Young, 鄭載榮)の個展『思考と行為の現象学』を開催いたします。 ■開催概要 展覧会名:ジェイ・ヨン『思考と行為の現象学』 会期:2025年10月15日(水) - 11月8日(金) 12:00-17:00 (日)(月)休 会場:N&A Art SITE(東京都目黒区上目黒1-11-6 / 東急東横線中目黒駅より徒歩5分) 主催:ジェイ・ヨン「思考と行為の現象学」展実行委員会 共催:エヌ・アンド・エー株式会社、アートジーン合同会社 アドバイザー:沓名美和 ジェイ・ヨンは1990年、韓国の新世代美術活動の先駆者と評されるグループ「黄金のりんご(황금사과, Golden Apple)」を共同創設し、石や木の枝などの自然素材を用いながら、実験的かつ体験的な手法を通じて数多くの作品を生み出してきました。その表現方法は、絵画やドローイング、版画作品、インスタレーションなど、多岐にわたります。 日本での個展の開催がおよそ18年ぶりとなる本展では、絵画作品、彫刻作品をはじめ、代表的な連作の《Like–150mm》や《Moment》など近年の新作を中心に展示いたします。 ※出展作品のうち一部は会場のみでの申込にて販売しております。メール等での申込は承っておりません。 ※プライスリストは会場のみでのご確認をお願いいたします。 ■展覧会に寄せて ジェイ・ヨンの本質的課題は、ミニマリズムの限界を超えることではないかと思われる。欧米近代が行き着いたミニマリズムは、実際には袋小路でもあるだろう。ミニマリズムの限界を超えなければ、未来の視覚芸術は発展できない。しかしそれは、もう一度多様性の海と渡り合うことでもある。ではそのときに指針となる羅針盤は何か。それがジェイの探究の本質ではないのだろうか。表現は彼の思考による選択と統御、実験と確信の結果である。それは彼の生き様なのである。 南條史生 ■ジェイ・ヨン|J Young(鄭載榮) 1965年、韓国/慶尚北道 / 醴泉生まれ。釜山在住。 韓国の新世代美術運動を牽引したグループ「黄金のりんご(황금사과, Golden Apple)」の共同創設者。 1994年以降、韓国国内外で毎年2・3回の個展を開催、アメリカやヨーロッパのアートフェアにも参加。自然素材を取り入れた作品や、東洋哲学を込めたパフォーマンスで注目を集めている。 【展示についてのお問い合わせ】 N&A Art SITE(エヌ・アンド・エー株式会社) artsite@nanjo.com 03-6261-6098 1.《Moment》2023 Mixed media on panel 40.0×53.5 cm 2.《Like-150mm》2025 Mixed media on canvas 90.9×65.1 cm 3.《Moment》2022 Bronze 38.0×18.0×10.0 cm

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2025年9月29日

【N&A Art SITE】ジェイ・ヨン『思考と行為の現象学』開催決定(10/15 – 11/8)

N&A Art SITEでは、2025年10月15日(水)から11月8日(金)まで、ジェイ・ヨン(J Young, 鄭載榮)の個展『思考と行為の現象学』を開催いたします。 ■開催概要 展覧会名:ジェイ・ヨン『思考と行為の現象学』 会期:2025年10月15日(水) - 11月8日(金) 12:00-17:00 (日)(月)休 会場:N&A Art SITE(東京都目黒区上目黒1-11-6 / 東急東横線中目黒駅より徒歩5分) 主催:ジェイ・ヨン「思考と行為の現象学」展実行委員会 共催:エヌ・アンド・エー株式会社、アートジーン合同会社 アドバイザー:沓名美和 ジェイ・ヨンは1990年、韓国の新世代美術活動の先駆者と評されるグループ「黄金のりんご(황금사과, Golden Apple)」を共同創設し、石や木の枝などの自然素材を用いながら、実験的かつ体験的な手法を通じて数多くの作品を生み出してきました。その表現方法は、絵画やドローイング、版画作品、インスタレーションなど、多岐にわたります。 日本での個展の開催がおよそ18年ぶりとなる本展では、絵画作品、彫刻作品をはじめ、代表的な連作の《Like–150mm》や《Moment》など近年の新作を中心に展示いたします。 ※出展作品のうち一部は会場のみでの申込にて販売しております。メール等での申込は承っておりません。 ※プライスリストは会場のみでのご確認をお願いいたします。 ■展覧会に寄せて ジェイ・ヨンの本質的課題は、ミニマリズムの限界を超えることではないかと思われる。欧米近代が行き着いたミニマリズムは、実際には袋小路でもあるだろう。ミニマリズムの限界を超えなければ、未来の視覚芸術は発展できない。しかしそれは、もう一度多様性の海と渡り合うことでもある。ではそのときに指針となる羅針盤は何か。それがジェイの探究の本質ではないのだろうか。表現は彼の思考による選択と統御、実験と確信の結果である。それは彼の生き様なのである。 南條史生 ■ジェイ・ヨン|J Young(鄭載榮) 1965年、韓国/慶尚北道 / 醴泉生まれ。釜山在住。 韓国の新世代美術運動を牽引したグループ「黄金のりんご(황금사과, Golden Apple)」の共同創設者。 1994年以降、韓国国内外で毎年2・3回の個展を開催、アメリカやヨーロッパのアートフェアにも参加。自然素材を取り入れた作品や、東洋哲学を込めたパフォーマンスで注目を集めている。 【展示についてのお問い合わせ】 N&A Art SITE(エヌ・アンド・エー株式会社) artsite@nanjo.com 03-6261-6098 1.《Moment》2023 Mixed media on panel 40.0×53.5 cm 2.《Like-150mm》2025 Mixed media on canvas 90.9×65.1 cm 3.《Moment》2022 Bronze 38.0×18.0×10.0 cm

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