【N&A Art SITE】NANJO SELECTION vol. 1 川内理香子 個展 “line & colors”
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展覧会の企画、キュレーション、 コーディネーション業務
N&A Art SITEにて、2023年3月25日(土)から4月27日(木)まで、NANJO SELECTION 第1弾として川内理香子の個展 "line & colors" を開催いたしました。
■開催概要
展覧会名: 川内理香子 "line & colors"
会期: 2023年3月25日(土)―4月27日(木) 12:00-17:00 (日)(月)休
会場: N&A Art SITE(東京都目黒区上目黒1-11-6 / 東急東横線中目黒駅より徒歩5分)
主催: エヌ・アンド・エー株式会社
協力: WAITINGROOM]
■川内理香子×南條史生 対談動画 N&A Youtubeにて公開中
https://x.gd/DrEBE
川内は食への関心や身体への違和感を起点とし、身体と精神、もしくは自然と思考の相互関係の不明瞭さを主軸に、ドローイングやペインティングをはじめ、針金やゴムチューブ、樹脂やネオン管など、多岐にわたるメディアを横断しながら作品を制作しています。なかでも油彩作品では、油彩絵具を厚く塗り、その上からペインティングナイフの先端で絵具を削るように線を描く独特の手法が用いられています。本展で展示される13点の新作油彩作品には、レヴィ=ストロースの神話分析から着想を得た動物や植物のモチーフと人体や人間の頭部が混然と配置されており、川内独特の身体観や生命観が感じられます。本展は、弊社代表の南條史生による企画展シリーズ「NANJO SELECTION」の第1弾として開催いたしました。
vol. 1 川内理香子について ― 南條史生コメント
「しばしば線は思考であり、色は感情であると言われる。別な解釈をすると線は精神であり、色は肉体である、とも言えるだろう。(中略)私は川内の作品に、この二者の間の緊張を感じとる。線と色は互いの役割を持って画面を埋める。それは精神と肉体の対立と協働のように見える。それが止揚されて作品の総体に昇華する。
その結果、川内の作品には精神の自由、解放、自身の存在への洞察と関心、外に広がる世界への恐れと愛を読み取ることができる。イタリアの哲学者ジョルジョ・アガンベンは、『異質な他者とともにあることを、喜びと感じることが愛である』という意味の文章を記している。川内の作品のダイナミズムは対立と矛盾を抱擁し、包含することに由来する『愛』から生じているのではないだろうか。」
—『川内理香子 “line & colors”』図録(2023年発行)より抜粋
■川内理香子
Photo by Sakiko Nomura
1990 年東京都生まれ。2017 年多摩美術大学大学院・美術学部・絵画学科・油画専攻修了。東京を拠点に活動。多摩美術大学在学中の2014年に参加した公募グループ展『CAF ART AWARD 2014』で保坂健二朗賞を受賞、15年に新進アーティストを対象にした公募プログラム『shiseido art egg』に入選し資生堂ギャラリーで個展を開催、shiseido art egg賞も受賞。22年には『VOCA展2022 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─』にて大賞のVOCA賞を受賞、同年ドイツのVAN DER GRINTEN GALERIEにてヨーロッパ圏での初めての個展を開催するなど、近年、国内外から注目を集める気鋭のアーティストである。
■NANJO SELECTIONについて
このほど、N&A Art SITEにおいて、NANJO SELECTIONという現代美術展のシリーズを開始します。
長年、現代美術の普及に尽力し、その間多くの作家、作品に出会ってきましたが、それでもまだ新しい発見を求めて、内外多数の展覧会を見て歩いています。そして多くの作品に出会い、作家との対話を重ねた中から、表現上の独自の発展を模索し、成果を上げ始めている比較的若手の作家に焦点を当て、その活動を紹介していきたいと思います。
決して万全とは言えない日本のアート環境の中で、新しく登場した作家たちの意義ある業績を美術史の文脈の中に位置づけながら国際的に紹介していくことは、日本の美術業界の喫緊の課題だと思われます。1年に4人程度の作家を逐次ご案内申し上げます。ぜひご覧ください。
